インプットとアウトプット。結構聞いたことがあるようなないような。
私たちは幼少期から今まで、実にたくさんのことや教養を覚えてきました。勉強だけでなく、運動やサークル活動の記憶や遊び。冠婚葬祭といったイベントや出会った人のこと。詳細はパッと頭に浮かばなくても、ぼんやりと概要は覚えている。
学生時代、覚えた(覚えさせられた)知識は多いはず。仕事を始めると使わないと分かるようなことも勉強させられました。
私は国語の古典が苦手でした。「○○ありけり」。こんな言い回しって現代では使わないじゃん。覚える意味があるの? 国語は文章読解に必要って分かるけど、なら現代文だけ集中すれば良くない?
美術の内容って使わない人の方が多いだろう。絵描きや芸術家になる人はどれだけいる? 目指したい人だけ受ければいい授業じゃないか。受験が大事なら、受験に合わせたことだけ注力すればいいのでは?
こんなことを思っていました。実に生意気な生徒ですねこれは(笑)。
でも私がこうやって文章を書けるのは、過去にたくさんの情報やデータを記憶、つまりインプットしたことの恩恵でもある。意外と無駄に思えた教養や知識が、実生活で役立ったのは私だけでないはず。
インプットすることが、ある意味学生の仕事なのかもしれません。
アウトプットは社会人の役割になるのかな? 仕事で覚えた業務を効率化してスピーディーに回したり、工夫を凝らして課題や問題を解決していく。
子育ても自分が受けた教育や親から学んだことを活かし、子供に接して育てていく。かつてインプットしたことをアウトプットし、社会や次世代に還元していく。
先駆者や上の世代から情報や知見をインプットし、アウトプットを通じて次へのバトンとする。こんな構図があるのかも。
となると、インプットもアウトプットもどちらも大切っぽい。
もっと考えてみます。
目次
インプットもアウトプットも両方必要。

インプットは入力。アウトプットは出力と訳されます。パソコンならネットでもキーボードからでも、入ってくるものがインプット。
こちらからメールやメッセージを返したり、ブログ記事や動画をYoutubeに上げることがアウトプットになる。パソコンは人で言えば脳に当たります。
脳は膨大な情報を記憶したり処理する、高性能な器官。実に複雑なものまで覚えたり考え出す、優れた存在。毎日のように大量のインプットを行っているのは想像がつく。
日常で使われる常用漢字は何と2000字以上。アルファベットが26文字、アラビア数字(私たちが一般に数字として認識しているもの)が0~9までであると考えると、日本人は実にたくさんの漢字を覚えて使っていることになります。
漢字は10万を超える字数を持つ為、専門家はより多くの漢字をインプットしている形。
何かすごいですね。それだけの知識を私たちは記憶し、日常会話や仕事で使っている。文章としてアウトプットして生活している。インプットとアウトプットはどちらも大切そうだ。
もう少し見ていきましょう。ここから学べることは多そうですね。
九九を覚えないと計算はできない
小学校の低学年で九九を覚えさせられましたね。九九は掛け算の基本。四則演算は数学や数字を扱う上で必須の内容です。計算ができないなら理数系は理解できない。経済でも絶対に計算は出てくる。
これは九九を通じて四則演算をインプットしたことになる。受験勉強は受験を突破する為の知識や公式・解き方をインプットする。インプットは全ての人間が日常的に行ってきている行為です。
詰め込んだ知識を答案用紙に書きだす。正答を増やすことで学習度を高め、受験や資格試験を突破する。これはインプットしたものをアウトプットし、結果に繋げることと同じではないか。
つまり、インプットがないとアウトプットはできない。アウトプットは蓄積から生まれてくる。知っているのは知識や経験があるから。知らないのはそれがないからです。
インプットがアウトプットを作るのは、感覚的に知っていることです。
実践=アウトプットで理解が深まる
手や口を動かして作業する。映像を見て覚えた動きを真似してみる。体を使ってやってみる。これらはアウトプットになります。アウトプットって意外と大変な気がする。
英語を覚える時によく言われるのが「音読」。即ち口を開けて声に出し、英文を読み上げる行為が効果的という話です。
これは口に出すことで、声や音というアウトプットが発生する。その音を耳から拾うことで、同時にインプットが起きている。
脳の聴覚と顎の動きを司る部分は異なるので、脳の違う部位を活性化させて学習効率が高めるというもの。
脳は構造的に、同じ部位を使い続けると活性が低下してパフォーマンスが下がるそうです。違う部分を動かすことでこれを防げるのだとか。
問題を解く際、紙やノートに書かせるのも学習効率を高める。手は精密な感覚器官なので、脳とはたくさんの神経が繋がっています。手を動かすことで脳を刺激し、目の前の情報を処理したり知識を蓄える能率を上げられる。
単に読んだり眺めるよりも、手を動かしたり声に出す。アウトプットを混ぜることで、インプットの効率が高める効果が学習や成長に見られること。スポーツや芸術も実際に体を動かすことで、その実態を掴める。
実践=アウトプットが、インプットしたことの理解を深める。これは経験則的に分かりやすいのではないでしょうか。
黄金比ってあるの?
樺沢紫苑さんの書籍に「アウトプット大全」があります。この本はインプットを3割、アウトプットを7割行うべきと説いている。
この人によると、アウトプットをインプットの2倍以上行うことが、成長や成功に繋がると伝えています。
人の脳は2週間に3回以上行ったことを、長期記憶として保存するのだとか。長期記憶とは私たちがずっと覚えている習慣や知識・体の動きなど、しばらく離れていても記憶され続けている情報。
一度覚えれば次は何とかこなせるのは、この長期記憶が働いているからだそうです。
インプットしただけでは脳は長期記憶には残さない。短期記憶として処理する。1週間前の3食のメニューを正確に思い出せる人は少ないでしょう。短期記憶のままだとすぐに脳は忘れてしまいます。
アウトプットを繰り返すことで短期記憶を長期記憶に変換する。このサイクルを作るのに理想と伝えているのが、3:7の比率らしい。
これは一般論であって、段階や状況によってインプットとアウトプットの比率は変わってくると思います。初期や初心者は知識や経験がないから、ひたすら頭に詰め込む。ほとんどインプットのみになるでしょう。
だんだんアウトプットが増えていくのは、吐き出せる情報やデータが増えていくからです。
黄金比は一応存在する。ですがそれよりは、アウトプットの練習をする。徐々にアウトプットする割合を増やしていくよう意識すればいいと言えます。
バランスは人それぞれ。特にアウトプットを意識する。

インプットは誰もが日常で行っている。しかし、アウトプットは意外としない人は多いと思います。
ビジネスでもよく言われるのが、「アウトプットを意識すること」です。Youtuberは撮影したり編集した動画をYoutubeにアップロードし、再生してもらう。
動画に広告を貼ってクリックしてもらったり、再生回数を稼ぐことで収入に換える。これはアウトプットしたものをお金にしていることを指します。
医者は学んだ(インプット)医術や医療知識をアウトプットし、患者や怪我人を治療する。その対価としてお金を得る。
学者や研究者は研究成果を資料やスライドにまとめ、それを発表(アウトプット)して世間やスポンサーに注目してもらう。そうやって彼らから資金を集める。
アウトプットからお金は生まれてくる。そう見てもいいのではないかと。
アウトプットが重要なら、どんな方法があるでしょうか?
読み上げをする。口に出してみる。
英語で音読が大切なように、口に出すことは高い学習効果がある。
語学学習ではよく読み上げが入ると思います。語学は多くの場合、海外で現地語で会話するのが目的になる。英単語は分かるし、英文は読める日本人は多い。でもネイティブスピーカーと話せるかは別の話です。
最初は喋れない子供が、いつの間にかお喋りをしている。これは耳から入ってきた声を音と認識し、口に出して真似をしている内に言葉を覚えた。
その言葉を実際に使い、適切な場面や返し方を習得していく。口に出して使うことが、子供が母国語を身に付ける上で最大の学習効果を生んでいる。
面接でも面接官と喋らなければなりません。その為の想定質疑を考える。考えて終了とするのではなく、誰でもいいから面接練習をしてみる。
実際に人と喋ることで、滑らかに応答できるかが見えるし、想定外の質問が来た場合、どう切り返すかを学べる。この練習をした方が、面接本番でも落ち着いて挑めるでしょう。
口に、声として出す。これは優れたアウトプットと言える。
手を動かす。文章を書いてみる。
漢字の書き取りをやらされた記憶はありませんか? スマフォで一発変換もできる今、漢字をせっせと書きとらせるのって無駄にも思える。
あれも学習効果があります。手は脳と多くの神経で結ばれている。手を動かすことで脳はたくさんの刺激を受けます。脳が活性化することでインプットが捗るようになる。
ただ漢字を眺めさせて覚えるより、書き取りによる反復動作で頭に沁み込ませる。
スポーツや芸術はさらに分かりやすい。野球が上手くなりたいなら、まずバットやミットをもらって素振りやキャッチボールをする。楽器を触ってみることで、使い方や出る音を覚える。
本を読むより、まず手や体を動かすことから学びを始める。
大人になって、漢字や計算がパッと出てこないことに気づく。当時は手を動かし使っていたから、スルッと出てきていた。
スマフォやパソコンをいじるようになり、字を書くことや手計算から離れると、漢字の変換や計算が遅くなっていたり、忘れているのを実感します。
こうやって文章を書いていると、この漢字で合っていたっけ? 計算式ってこれでいいのかな? と迷う時がある。
暗算でスルッと処理していた計算で手が止まる辺り、インプットしたこともアウトプットし続けないと劣化してしまうんだなと思います。アウトプットがインプットしたものを輝かせる側面はあるかと。
アウトプットなら、ブログの文章を書いたり撮った動画の編集をしてみる。体が硬いと感じるならストレッチの情報を集め、自分でストレッチしてみる。
何か作品を作ってみるのも有りでしょう。それの写真を編集したり、制作過程を撮影して動画にし、加工してみるのもいい学びになる。
アウトプットすることで記憶や学習効果は強固になり、インプットした情報は光るようになる。手を動かして文章を書いたり、手作業をしてみると、自分の成長に大きく寄与すると言えるでしょう。
ブログも選択肢になるよ
自分が学んだことを人に伝える。誰でもできそうで実は難しい。そう感じます。
自分はこのつもりで言った言葉や書いたこと。これを自分が想定した通りに受け取ってくれる人はどれだけいるでしょうか。「人の嫌がることを進んでします」。
一般的には人が厭うことを自分からやってくれる、素晴らしい人を指しますが、額面通りに取れば人が嫌がることをやってしまう、アレな人とも取れる。
冗談や軽口のつもりで言った言葉。聞いた相手が傷ついていたなんてことは日常茶飯事です。上司からの指示を勘違いしたり、部下に上手く伝わっていなかったという事例も後を絶ちません。
伝えるって簡単じゃないな。伝えることができるなら、仕事でも生活でも問題はグッと減ると考えられる。伝え方も練習できないかな?
ブログはその練習に向くと思います。顔も見えない相手に向かって文章を書く。顔も知らない相手からの文章を読む。言葉の選択や書き方を考えないと、伝えたいことは伝わりません。
アウトプットでもあるので、継続しているとだんだん書けるようになってきます。自分が言いたいことを文章にする能力が育ってくる。リアルでも通用する力になるのではないでしょうか。
ブログはアウトプットとして選択肢に入る。そう思います。
今回もお読み頂き、ありがとうございます。